データ分析での迷子を防ぐ - Miroを活用した分析結果の整理方法 -

はじめに

Analyticsチームの上田です。 皆さんは、データ分析を進めているうちに「このデータ、何のために出したんだっけ?」と目的を見失ってしまったことはありませんか? 目的を見失った分析は本来のゴール達成に繋がりにくいため、望ましくありません。

そこで今回は、迷子を防ぐためのデータ分析結果の整理方法をご紹介します。

CHUO Tech #7の登壇でも関連した話をしているので、よければご参照ください。

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なぜ迷子になるのか

適切な整理方法を考えるにあたり、まず迷子になってしまう要因を考察しました。

要因1. 分析には繰り返しが伴うから

「一度データを出したら、それがすぐに施策に繋がる」というケースは稀です。 多くの場合、「目的(課題)を設定する → 仮説を立てる → データを出す → 考察する → 新たな仮説を立てる → データを出す → …」というサイクルを繰り返すことで、施策へと繋がっていきます。 また、施策を積み重ねてサービスの最適化が進むほど、新たな施策を生み出すために必要な分析の繰り返し回数も増加する傾向にあります。

この繰り返しの中で、徐々に当初の目的意識が薄れてしまい、迷子になるのではないかと考えられます。

要因2. 分析では並行作業が発生しやすいから

「データを出す → 考察する → 新たな仮説を立てる」というプロセスにおいて、仮説が一つだけということは少なく、複数の仮説を同時に検証することの方が多いのではないでしょうか。また、一つの仮説を検証するために、複数の異なるデータを参照するケースも頻繁にあります。

このように、分析作業では並行して複数のタスクが発生しやすいため、状況の全体像を把握しきれなくなり、迷子になってしまうのだと考えられます。

要因3. 生成AIの発展により、分析のリードタイムが短縮されたから

Analyticsチームの清水さんの記事が、まさにこの好例です。 Geminiのような生成AIの登場により、コーディングにかかる時間、さまざまな手法を試行錯誤する時間、そして分析結果をまとめるのに要する時間といった、分析全体のリードタイムが劇的に短縮されました。

このリードタイム短縮が、要因1(繰り返しの増加)と要因2(並行作業の増加)をさらに加速させ、迷子になりやすい状況を生んでいると考えられます。

どうすれば迷子を防げるか

前述の要因を踏まえ、迷子を防ぐためには「データ分析の繰り返しや分岐の構造を視覚的に表現すること」そして「その表現を短時間で手軽に行えること」が重要だと考えました。

そこで行き着いたのが、「Miro (仮想ホワイトボード) を活用して図解する」という方法です。

下図のように、データ分析における目的・仮説・結果・施策といった要素間の繋がりを視覚的に示します。各分析結果や施策の結果には、詳細な資料へのリンクを載せます。重要なグラフはMiroのボード上に直接貼り付けます。 Miroを使うメリットは後述します。

Miroを利用したデータ分析結果の整理

実践してみた結果

Analyticsチームでは、今年の1月から4月にかけてのデータ分析において、この整理方法を実践しました。

結果として、期待通り、分析中に迷子になるケースはほぼ無くなりました。具体的には、本来の目的と関連性の低い分析作業が減少し、「このデータ、何のために出したんだっけ?」といった疑問が大幅に減りました。また、疑問が生じた場合でも、Miroを見ることでクイックに解消できるようになりました。

また、Miroに整理するのもすぐに定着しました。これは、「シンプルにMiroが使いやすい」「文書ベースで記録するよりも手軽に表現できる」「Miroさえ見れば、得られた知見を網羅的に追える」が主な理由だと考えています。

Miroを使うメリット

シンプルにMiroが使いやすいことに加え、搭載されているAI機能が優秀である点も大きなメリットです。分析が進むにつれてMiroボード上の情報量は増加し、どうしても読解コストが上がってしまいます。初見の人にとっては特にそうです。 Miroには、選択した範囲の内容をAIが自動で要約してくれる機能があり、このような場合に威力を発揮します。たまに言葉選びが大げさなことがあるものの、内容は正確なので実用的です。

MiroのAI機能で分析結果の要約を生成

おわりに

今回は、データ分析での迷子を防ぐ一つの方法として、Miroを活用したデータ分析結果の整理方法をご紹介しました。データ分析の過程で迷子になりそうと感じた際には、ぜひ今回ご紹介した方法を試してみていただけますと幸いです。